1951年に最初のプロトタイプ以来基本的な構造は変わらず、細かな改良が施されてきたというトランギアの代表的なプロダクト。
本家(スウェーデン)のサイトではCamping stoves seriesと呼ばれているが、なぜか日本ではストームクッカーという名前。
クッカー(コッヘル)、アルコールバーナー、五徳兼風除け、クッカーのハンドルのバランスの良いセット。
世の中のクッカーやコッヘルには主に、アルミニウム、チタン、ステンレスなどがあるが、トランギアのクッカーはアルミニウム製にあたる。ストームクッカーのクッカーもいくつかの表面加工はあるがアルミ製となる。
アルミ製のクッカーはステンレスなどに比べて熱伝導率が高く、軽量であることが特徴。ステンレスなどのクッカーでは、熱伝導率が低く、バーナーの当たった一部だけが焦げ付くなどの問題があるが、アルミ製のクッカーでは熱伝導率の高さにより熱を均等に行き渡らせることができ、焦げ付きを抑えることができる。
クッカーとしては、フライパンと二種類のサイズのソースパンが付属しており、煮炊きと焼きが別々に行なうに十分なセットとなっている。
これらのセットが全てひとまとめにスタッキング可能となっており、非常にコンパクトに収納できるのが特徴。
サイズはソロ向けのSサイズと、2〜3人向けのLサイズの二種類をラインナップ。
これらのセットにはケトルまで同じスタッキングに加えることが出来る。
Sサイズには0.6リットルサイズのケトル(別売)がソースパンの中に収納可能。また、Lサイズには0.9リットルサイズのケトル(別売)がソースパンの中に収納可能。
いずれもその際、アルコールバーナーは燃料を使い切ってケトルの中に収納する。
セットで一度に購入するとそれなりの出費に感じるが、スタッキング可能な調理器具をバラバラで購入すると返って不要なものが増えたり、トータル出費がかさんだりすることが予想される。
ちょうど良いフライパン、2つのソースパン、ケトル、バーナー、五徳を揃えるのはなかなか現実的ではない。
かなり洗練されたクッカーセットである。
材質や仕上げとして、アルミ無垢のウルトラライト、ハードアノダイズド、ブラックバージョンの三種類をラインナップしていたが、2018年からデュオーサルというシリーズが発売されて四種類となっている。
ハードアノダイズドが最も高価で、ウルトラライト、ブラックバージョンハードアノダイズド、デュオーサル、ハードアノダイズドと順で値段が上がっていく。
ハードアノダイズドバージョンはウルトラライトにハードアノダイズド加工を施したもの。ハードアノダイズド加工とは、硬質アルマイト加工といい、腐食に強く、長く愛用したい人に向いている。
デュオーサルシリーズは、熱伝導率の高いアルミを外側に、耐久性の高いステンレスを内側に使用したフライパンとソースパンを組み合わせたバージョンでアルミニウムとステンレスのいいとこ取りをしている。気になる製品である。
ブラックバージョンはウルトラライトに黒色コーティングしたものとなるが、コーティングが剥げるというユーザーも聞かれる。
ブラックバージョンでは、ソースパンとフライパンの両方の内側にノンスティック加工が施されている。
また、ウルトラライトとハードアノダイズドでは、フライパンのみ内側にノンスティック加工が施されているという違いがある。
フライパンは比較的焦げ付くような使い方が多いのでいずれもノンスティック加工が施されているが、ソースパンまでノンスティック加工がされているのは、ブラックのみとなっているので注意が必要。
ノンスティック加工とはいわゆるテフロン加工のことで焦げ付きを防ぎ、洗浄を容易にしてくれる。
一方でこういったノンスティック加工やコーティングには注意点がいくつかある。初めて使うときにこれを知らないと手遅れとなることもあるので知っておくべき。
まずコーティングやノンスティック加工は、金属ヘラや金タワシなどによるキズに弱いのでハードな扱いには向いていない。
さらによくやってしまいそうなのが、空焚きや空焚きに近い状態により、アツアツに熱している状態では塗装剥がれが発生しやすくなるので注意が必要。ソーセージなどを空焚き状態で4~5分程炒めた後にアルミハンドルでフライパンをつかむと、それだけでその時の高温の影響で塗装面の熱分解が発生する。その結果、ハンドルでつかんだ痕が塗装はがれに繋がるとのこと。
次に空焚きや空焚きに近い状態などによりテフロンが揮発してしまい、著しく焦げ付き防止性能が低下するので取り扱いに注意が必要となる。
空焚きに近い状態については、フライパンで少量のソーセージを炒めるとか、アルミホイルをフライパンの上に乗せての調理などが公式では推奨しない使い方とされている。
ラインナップとして、トランギア社の90周年記念モデルとしてレッドリミテッドエディションというものもあり鮮やかなデザインで、興味深い製品だが、ここでは割愛する。